電子書籍どうでしょう

イマイチ盛り上がりがない日本の電子書籍業界や出版業界に言いたい放題やってます。

最近の悩み:紙書籍の電子化について01

ウチの仕事のひとつですが、電子書籍ePUB制作などをやってます。
出版社などのクライアントから紙書籍用のデータをお預かりして、電子化するのですが紙書籍用のデータと言えばAdobeInDesignです。

ウチではInDesignでのデザイン制作なども長年やっていますので、コレと言ってファイルの取扱いには問題ないのですが、クライアントによって『InDesignデータの作り方が全然違う』のですよ。

 

例えば

『文字スタイル』をまったく使わずに1冊作っている(電子化には影響ないですけど、そんな作り方で大丈夫なんでしょうか?)。
特殊な文字(フォント依存文字・機種依存文字)や記号書体を使っている。
文字のバランスを取るために、やたらと全角スペースや半角スペースを多用している。
など

 

そして一番困るのが、『校了した最終データではないInDesignのファイル』だったりすること。

 

滅多にないけど、過去4回ぐらいありました。。。

 

単純に文章を入れ替えるだけなら良いのですが、フォントの大きさや太さなどを細かく変更しなくてならないことが多いので、とにかく時間がかかる。10分ぐらいで終わるなら無料で対応しますが、数時間かかることもしばしば・・・。もちろんその分は追加料金をお願いするケースもあるけど、渋るクライアント様もいらっしゃいます。

それでもお預かりした印刷データを信じてやるしかない・・・。

まぁ紙書籍は印刷して製本しちゃえばイイので、『見た目』がすべてです。正確に言うとPDFに出力して校正した段階で、良ければOKです!文字のアウトライン化などをしておけば、たいていの印刷屋さんで印刷可能です!!

 

電子化するときは若干話が違ってきます。

まずフォント(書体)です。

出版社や著者にもよりますが、「なんで紙書籍と同じフォントで表示できないの?」ということらしいです。

基本的にウチではフォントの埋め込みをするようなePUBは受注しておりません。使えるフォントと使えないフォントがあったり、フォントメーカーのライセンスだったりとか色々と面倒だからです。よって、フォントの埋め込みなどがどうしても必要な場合はお断りさせていただいてます。

 

 

 

電子書籍はビューワにフォントを依存しているので、そのビューワに使われているフォントで表示されます。ビューワによっては任意でフォントを入れることもできます。

電子書籍を購入したユーザーが自由にフォントを選択できるというメリットです。

※実は私も電子書籍を購入して明朝系のフォントだった場合、必ずゴシック系に変更して読みます。私にとってはゴシック体の文字の方が読みやすいからです!

 

文字の大きさも上記と同じような理由で、変更することが多いです!まぁ(老眼なので:笑)主に拡大することになるのですが、そうなるとレイアウトが崩れることが結構あります。

罫線を入れたり、文章を囲ったりするのはまだ良いのですが(ページ戻りで崩れることが良くある)、文章の段を変えてあったりとか画像が細かくレイアウトされていたりすると厄介です。タイトルや見出しなども本来改行せずに1行で表示したいのでしょうけど、全体の文字を拡大すると2〜3行ぐらいになります。

 

すべての電子書籍を確認することはできませんが、最近の傾向としてePUBの質が低くなったような気がします。
※けっしてウチのレベルが優れているということではありません→普通です。

 

電子書籍は紙書籍とは別物なので、ユーザーとしては「とりあえず普通に読めればイイ」ということを意識していただけるとありがたいです。なんだか紙印刷を再現しようと必死になっているのが伝わってくる電子書籍が結構あるような気がします。

 

逆に読みにくくなるのがツラいです。。。

 

基本的にウチでは最終的なレイアウトや文章などの校正チェックはやりません。
あくまでもクライアントの方にやっていただき、OKが出れば校了です。
こちらからあえてアドバイスや意見をすることはありません。

 

例えば、20インチ以上の画面のPC、15インチのノートPC、10インチのタブレット、7インチのタブレット、5インチのスマホなど、どの端末で電子書籍を扱うのかはユーザーの自由です。出版社の方はそのすべての端末で書体を変えたり文字を拡大縮小するなどのチェックをやっているのでしょうか・・・。

 

さらにAmazon Kindleだけで販売されているのなら、そこだけに合わせることもできるでしょうけど、さまざまな電子書籍配信サイトで販売するとなるとビューワが違うことによる不具合が出る可能性があります。そのアタリのチェックは誰がやっているのでしょうか?

 

『紙書籍と電子書籍はまったくの別物である』という認識を出版社や個人出版の方、そしてユーザーも同じく認識する必要があると思います。

 

※なお、ウチでは法人はもちろん個人で出版される方の電子書籍ePUBも制作を承っております。ご連絡お待ちしてます!