電子書籍どうでしょう

イマイチ盛り上がりがない日本の電子書籍業界や出版業界に言いたい放題やってます。

印刷書籍の生き残り方(ERO本の販売戦略例)

インターネットの加速とは真逆に印刷出版関連は大不況に陥った...。さらに日本人は本を読まなくなって「読書離れ」と言われてちゃってます。街の小さな本屋さんは閉店に追い込まれ、駅前や繁華街の大きな書店がギリギリ生き延びるだけとなっている現状は、本当に寂しいものです。

Amazonに代表されるような「書籍のネット通販」の存在も大きいですよね。欲しい本はネットで検索・購入できてしまうのですから、他のネット通販に慣れている人には嬉しいサービスです。

これも時代の流れで、仕方ないことなんだと認識しています。

前のエントリーで「ERO本」について語りましたが、実は「ERO本」にはこんな戦略があるのです


●地方の商店だけで販売する

今現在首都圏で「ERO本」を購入する手段の1つとしてコンビニがあります。「18歳未満は〜」と断り書きのあるコーナーですね!しかし近年子どもに悪影響だということで、「ERO本コーナー」を縮小したり撤去したりしています。少なからず需要はあるのですが、まぁなくてもコンビニの売上げにはそれほど響くことはないでしょう。

しかしコンビニで「ERO本」が販売できなくなると出版社は困ります。本屋さんが少なくなってきてますから、年々販売網が狭まっているのが現状です。

そこで以前から存在した「ちょっと特殊な販売網」を強化し、ターゲットを絞った戦略が取られることになりました。

それが「地方の商店だけで販売する」です!

購入者となるターゲットは田舎の工事現場で働く方々です!!

大規模な公共工事など数年かかることが多いです。高速道路やダムなどは数十年かかりますよね。そこで働く方は男性が多いのが特徴で、出稼ぎなど出身地や年齢などバラバラなことが多いのも特徴です。もちろん自宅から通勤できるわけがないので、プレハブなど簡易宿泊施設などで長期間生活することになります(たまに休みを取って一時帰宅できる所もあります)。

彼らの娯楽はテレビ鑑賞・酒・タバコぐらいです。近くに居酒屋やスナックなどあるわけもなく、繁華街に遊びに行くのは、ほぼ不可能な状態です。もっぱらその町の商店で酒・つまみなどを購入して宿泊施設で小さな宴会を開くぐらいしかできないのです。しかしちょっと酒を呑んだからといってもストレス解消にはなりません。その他の娯楽がまったくないので、暇を持て余すと喧嘩などの揉め事なども増えてしまいます。これでは仕事に影響が出てしまいますよね。テレビ以外では女性を見かけることがないのも精神的にマイナスです。

そこで昔から作業員もしくは現場監督などが差し入れで、「マンガ」や「ERO本」を数十冊持ち込むようにしています。作業員は数十人以上いますので、本や雑誌が大量に持ち込まれます。よって現場から近い町の商店ではお酒やつまみと一緒に「ERO本」が置かれていて、よく売れるのです

出版社はこれに目を付け、「売りにくくなった首都圏」では販売せずに「地方の商店だけで販売するERO本」を制作するようになりました。いくらなんでも地方の商店だけでは数万冊とかとても売れませんので、1冊を1000部単位で雑誌を作ります。しかし1冊1000円として1000部しか販売できないと完売しても100万円にしかなりませんので、出版社は大赤字になってしまいます。

そこで赤字を解消するには経費削減が一番です!

何を削減するかというと主に女性モデルの写真です。

女性モデルの写真にお金をかけないということは、女性モデル・スタイリスト・カメラマン・撮影場所にかかる料金・交通費・飲食などその他の経費が一気に削減できます。

1回の撮影で、女性モデルに別の衣装に着替えてもらったり、髪型もスタイリストさんに変更してもらい、従来よりも多くさまざまなカットを撮影します。雑誌にもよりますが、女性モデル7〜10人ぐらい使って1冊が完成します。そして1回の撮影で同じ女性モデルから10の企画を作り出します。そうすることにより別々の雑誌を10冊作ることが可能になります。

表紙はもちろん変更して、発売日もずらしますので、意外と気づく読者はいません。そもそもそれほど集中して読んでいませんからね(笑)!

出版社には以前撮影した写真も大量にありますので、それを組み込んで使う場合などもあります。そうすることにより経費を削減し、日本中の作業現場で1000部を売っています。

しかし昨今の政治的事情により公共工事が中止や凍結するなど逆風が吹き荒れている現状では、決して楽な戦略ではなくなりつつあります。今はどうなっているんだろ?

私がこの「地方の商店だけで販売する」という販売戦略を聞いたのは5〜6年前で、「頭がいい人っているんだな」と感心しました。この頃から「ターゲットを絞った販売戦略」ということを意識して考えるようになりました

知っている方は「何を今さら言ってんの?当たり前でしょ!」という感じでしょう。すみません、私は本当に知らなかったのです。。。

今後さまざまな商売で個性的な「ターゲットを絞った販売戦略」を考え出した人が勝ち組になれると思います。

みなさまにも何かヒントとなれば幸いです。