新人賞コンテストという新手の出版ビジネスって、どうでしょう?
いや〜、ホントびっくり仰天です。
↓こちらのブログを拝見させていただいたのですが、もうビックリしました。
最初は「おめでとうございます!」って思ったのですが、どのようなコンテストなのかなぁ〜と調べてみたらいろいろと面白いことがわかりました。
それがコチラのサイトです。
いや〜、スッゴイことやっているモノですね〜〜〜!
何がスゴイって・・・まず『無料で書籍化キャンペーン』ってとこです。
応募者全員特典・・・応募作品は審査結果に関わらず、もれなくプリント・オン・デマンド(POD)化されてAmazonで販売されます。
「無料で書籍化」って言ってもPODだから単なるオンデマンド印刷された紙の本なんです。ベンダーセントラル契約している出版社じゃないとPODはできませんけど、まぁ驚くほど売れないです。
例えば絶版本や高額な分厚い専門書などごく一部の本についてのみメリットはありますけど、一般の方が新書として販売しても1冊あたりの単価が高すぎてほとんどの消費者は手を出しません。
電子書籍もあるのにPODでわざわざ本を購入する人ってそうそういるもんじゃないです。
だってペーパーバックに1000円以上も出す人なんて・・・ちょっと常識的には考えられないです。購入するのは著者本人や身内、親しい友人ぐらいじゃないですかね〜。
下記の入賞特典もヤバいですね。
入賞特典
最優秀賞 最大1名・・・編集担当のサポートを受け、書籍化されたものが書店に並びます・・・Amazonギフト10万円分・オリジナル表紙デザインの作成と電子書籍化
優秀賞 最大1名・・・Amazonギフト5万円分・オリジナル表紙デザインの作成と電子書籍化
佳作 最大5名・・・オリジナル表紙デザインの作成と電子書籍化
※審査の結果、該当者が最大数に満たない場合がございます。
今回は最優秀賞は「該当者無し」のようですが、優秀賞〜佳作までは「電子書籍化」というのがあります。
タダでePUBにしてくれるようですが、『著作権は著者のもの』で、『出版権はゴマブックスのもの』となります。
そしてゴマブックスから著者に対して支払われる著作権使用料はたったの5%です。
オマケに「年2回締め」とあり、年2回しかロイヤリティが支払われません。さらに振込額が1万円未満の場合は繰り越しとなっています。
PODの場合1冊あたりのロイヤリティがいくらになるかわかりませんが、数千冊は売れないと著者に支払われることはないでしょう。
まさかと思いますが、このコンテストに応募された方では↓を読んでますよね?
よくこの規約に納得したよなぁ〜。
いろいろな意味で感心しちゃいますよ。
あと優秀賞〜佳作までは「オリジナル表紙デザインの作成」というのがあるのですが、現状では表紙が無い状態(テンプレ表紙)で販売されています。たぶん随時表紙デザインが完成次第入れていくのだと思いますが・・・常識的にその場合は今販売しちゃイケナイのでは(2018年3月20日現在)?
現状で50作品(入賞作品と落選作品)ほどあるようなのですが、入賞作品はいずれ表紙デザインが入るとして、落選作品はこのままですか(テンプレ表紙)?
ってゆーか『新人賞コンテスト』なのに50作品だけですか・・・ん?逆だ!よく50作品も集まったモノですね〜!
だって落選しても出版権は出版社に取られちゃうんですよ?
※一応契約期間は2年となっており、契約終了の文書通達などがなければ1年ずつ自動更新され契約延長となります。
落選したら無料で電子書籍にはならないので、たぶん「有料で電子書籍にしてもらえる」のだろうと思いますが、自腹を切って5%しか収入にならない、もしくは電子書籍化せずにPODのみで販売するということになります(著者が勝手に電子書籍化して配布することはできない)。
スッゴクもったいないですね。
まぁPODだけだとほとんどの著者の懐にロイヤリティが入ることはないと思います。
正直なところAmazonギフトをもらえる優秀賞と最優秀賞ぐらいしかメリットがないコンテストです(たぶんAmazonが提携してギフト券を出しているのでしょう:違ってたらごめんなさい)。
出版権を手放すということは、Amazonと出版社で95%も持っていっちゃうんですよ?
新手の出版ビジネスですな(笑)!
まぁ私が知らないだけで、結構あちらこちらの出版社でやっているのかもしれませんけど(笑)!
PODはほとんど儲けがないとして、電子書籍でどのぐらいの利益が出るものなんでしょうか?
著者には5%しか支払う必要がないので、年平均で1作品あたり100冊(合計5000冊/年)ぐらい売れれば年間300万円ぐらいの利益は出るのかな?まぁ宣伝次第でしょうね。
ん?そっかー!宣伝も著者が必死にやるのですね。
なるほど、出版社側はコンテストという土台を作って審査するだけで(とりあえず)年間300万円利益が出るなら悪くはないですね!
このようなコンテストを定期的に行って作品数を増やし、数千冊、数万冊となれば将来的にはまぁまぁの利益になる可能性があります。
数が増えればベストセラー的な作品(ドラマ化・映画化など)が出てくるかもしれませんので、一応やるだけの価値はありますね!
結局『自分で作品を創ることはできるけど、電子書籍にしたりKindleに登録して販売管理はできない』という人が50人もいるということなんでしょうか。。。
それとも何でもいいから賞レースに参加して勝ちたいのでしょうか。。。。
いやいや、自分で全部やりましょうよ。
せめて『最優秀賞100万円(もちろん現金です)+書籍化(もちろん本屋さんに並ぶ紙印刷本です)』ぐらいじゃないと話にならんでしょう。プロの作家を目指す方は、この程度の草レースで満足してちゃダメっすよ〜!
※しょぼい賞レースがダメという意味ではなく、最終的に著者は何も得るものがないというコトが問題だと考えています。
全部自分でやればロイヤリティ70%(35%の場合もあります)すべて自分の儲けになるんですよ?
『読み放題サービス』のほうもOKしておけば1ページ読まれるごとに約0.5円支払われるんですよ?
ePUB制作って若干ハードルが高めですが、素人の方でもやればできます(たぶん)!
「(技術的に)やっぱ無理」「時間がない」などという方の場合はぜひお問い合わせください。
ウチは電子書籍制作(ePUB制作)やっていますが、法人・個人を問わず制作を承っています。
もちろんウチだけじゃなく、他の業者さんでもやってます。
毎月数件ではありますが個人様からも問い合わせや制作依頼があります。
ePUB制作料金としては作品内容によってまちまちですが、だいたい1冊あたり2〜3万円ぐらいになることが多いですね。
Kindleへの登録だって以前よりもハードルが下がっています。
簡単とまでは言いませんが、さまざまなサイトにアドバイス記事が書かれていますから、なんとかなりますよ!
出版社がやっていることはけっして詐欺行為などではありませんが、ロイヤリティが5%というのはあまりにも低すぎです。しかも落選作品に対しても「応募したら出版権は出版社のものだからね」というのはいかがなものでしょうか。
応募された著者の方はもしかすると何かしら考えがあるのかもしれませんが(例えば作家として自分の名前を売りたいとか、腕試しとか)、もっと自分の創作作品を大事にされたほうが良いと思いますよ。
ほとんどAmazonと出版社に寄贈したようなものですから!
※「いや、お金や名誉じゃないんだ!とにかく一人でも多くの人に読んでほしいだけなんだ」という方の場合は除きます。
「個人出版で儲ける」ということはけっして悪いことではありません。
例えばいくらかでも売上があれば、次の本を書くための資金になります。
プロの作家を志望されているのであれば尚更です。
作品内容によっては資料や取材などが必要なこともあるでしょう。
そしてなにより時間を作ることができます。
プロになる気はまったくなく、趣味だけならサラリーマンやりながら土日に執筆するのもアリですけど、作家として食べていけるようになりたいと考えているなら、儲けましょうよ!
私には文才がまったくないので作家になることはありませんが、作家になりたい方の手助けをすることはできます。
みんなガンバレ〜!