Kindleには並ばないActiBookという電子書籍
先日、ActiBookについてお客様に説明を求められたので、ついでにブログにも残しておきます。
●企業案内・商品紹介などのカタログやパンフレット
ウチでの制作は数件なので、どれだけ活用されているかわかりませんが、カタログやパンフレットの電子書籍化(ePUB)というのがあります。自社サイトにePUBファイルをダウンロードできるように配置して、ユーザーに配布するという形にしているようです。
AndroidやiPhoneにはデフォルトでePUBを読み込めるアプリが入っていますので、初めてePUBを利用される方にも親切ですね!
電子書籍と呼ばれるほとんどがePUBフォーマットなのですが、一部では『ActiBook(アクティブック・電子ブック)』という電子書籍というかシステムがあります。近年ではAndroidやiPhoneなどにも対応して、マンガやカタログなどを閲覧することができます。ただePUBでいう『リフロー型』ではなく、『ActiBook』の元データはすべてが画像となりますので『固定型』になります。
そして『ActiBook』の最大の特徴は「オンラインでしか閲覧できない」ことです。
※スマホのアプリを使えばダウンロードして、WEB接続のないときでも閲覧可能です。
以前はパソコンだけでしか閲覧できなかったのですが、近年ではスマホなどにも対応するようになりました。
「オンラインでしか閲覧できない」ということはWEB接続された環境じゃないと『ActiBook』を利用することができません。利用者からすると不便ですが、情報提供する側からは「ダウンロードされない」という利点があります。このためマンガ(有料や無料など)など著作権が絡むようなコンテンツには向いていると思います。
しかし例えば『通販カタログ』などはどうでしょうか?
『通販カタログ』は著作権など無関係ですし、どちらか言えば常にユーザーのスマホにダウンロードされていた方が良いと思います。さらに購入ボタンとか付けてWEBサイトにリンクさせたりしてあると企業とユーザーのどちらにとっても良いことです。しかし『ActiBook』は基本的にWEB接続を必要としますので、ユーザーにとってはデメリットが大きいです。
『ActiBook』では、すべてのページが画像なので容量が大きく、数百MBになることも多いでしょう。この容量のファイルを閲覧するたびにWi-Fi接続のない環境、つまり通信容量に制限のあるLTE接続でスマホに読みこませるのはどうかな〜と思います。
さらに前述しましたが、『ActiBook』では文字検索などはできませんし、小さく表示される文字は拡大しないと読むことができません(ほとんどPDFですね)。
実は先月、冠婚葬祭のカタログギフトが送付されてきました(なんというドンピシャなタイミング)。
身内に不幸がありましたので香典返しということなのですが、カタログページ数は200ページ超。WEBから申し込めるとのことで、そのカタログのHPにアクセスしたらそこでもカタログの閲覧ができるというので開いてみたらActiBookでした。まぁ自宅のPCで光回線なので特に問題はないのですが、これが自宅Wi-Fiの無い家庭でスマホだけという人の場合、結構大変なことになります。10MB単位のファイルを開いているわけですから、ほとんどYouTubeで動画を見ているようなモノです。スマホの契約にもよりますが、クリックしたら最後・・・ガンガン容量が減っていきます。
実験してみました。
とりあえず200ページぐらいの『ActiBook』で作られたカタログのすべてページをめくってみます。
ウチはmineoを使用しているので、画像のように現在の容量の使用状況がリアルにわかります。左が『ActiBook』を開く前で、右が200ページめくり終わったあとになります。
3,102MB-3,084MB=18MB
200ページで18MBなので100ページあたりだと9MBになります。
たぶんほとんどの一般ユーザーは知らないで『ActiBook』を利用していると思います。
せめて『ActiBook』を開く前に注意書きなどがあったほうが親切だと思いますが、今回の冠婚葬祭のカタログギフトのサイトにはありませんでした。
『ActiBook』を開く場合は、できるだけWi-Fi環境のあるところのほうがイイですよ!
やはりスマホやタブレットなどの利用者がパソコンより多い現代では、ePUBのリフロー型の方がユーザーには便利です。しかしリフロー型のePUBにするとなると画像とテキストデータをそれぞれ抽出してレイアウトをする必要がありますので、どうしても時間とコストがかかります。
『ActiBook』は紙印刷物をそのまま利用したファイルなので、私の知るかぎり『ほぼPDFと同じ』です。今後はよりスマートフォンやタブレットに対応するような進化が必要だと思います。
『ActiBook』を無理矢理スマホに対応させるより、パソコン利用と割り切った方が良いかもしれません。