小学生1人が年間平均142冊の本を借りるって・・・どうなんでしょう
先日このような記事を拝見しました。
児童文学作家による講演や、ボランティアによる読み聞かせ、読書のための時間の設定などを行い、児童1人が図書室で借りる本が年間142冊(平均、2017年)に上っているからです。
これについて、SNS上では「素晴らしい取り組み」と評価する声が上がる一方、「読書を学校に管理されるのは嫌」と否定的な意見もあり、賛否両論が飛び交っています。読書促進の取り組みを取材しました。
これは賛否分かれる内容でしょうね〜!
仕事上の立場から言わせてもらうと本の消費につながることは大歓迎なのですが、この小学校の取り組みに関して個人的には『否』のほうです。
リンク先の校長のインタビュー記事を読んでいるとツッコミどころ満載なんですよね〜!
●『否』の理由その1
国の機関の委嘱を受けたのをきっかけに2006年度から読書活動に力を入れ始め、2010年から入学時にバーコード付きの図書カードを児童に配り、本を貸し出しています。同年には文部科学大臣表彰も受けました。
2006年から始めたってことは2018年現在で12年経過しています。実質2010年からだとしても8年経過しているので、何かしらのデータが存在しているはずなんですが、「生徒が1ヶ月に何冊本を借りた」ぐらいのようです。
私が一番知りたいデータとは『異常とも言える量の本を読み続けた結果』です。
「小学生1人あたり年間平均142冊」ってことは「最低でも2〜3日で1冊読み終える」ということになりますが、この『異常とも言える読書量』を続けた小学生たちがどのように成長して行ったのかがとても気になります。
例えば「生徒の学力・成績が向上した」とか「有名中学〜有名高校〜有名大学への合格率・進学率がアップした」などのデータがあれば公表して、全国の公立小学校に展開させるべきだと思います。
8年以上経過しているのですから、何かしらのデータがあると思うんですよね。
昔から「本を読むことは良いことである」みたいなことを言われていますが、パソコンやスマホが溢れかえった現代でも通用するのかどうか知りたいですね。
良い面のデータはもちろんですが、マイナス面のデータもあると思うのですよ。
例えば「体力測定の結果が悪くなった」とか「読解力や創造力はついたが算数が苦手」など。
特に何か変化のあるデータが無いのであれば、小学校のメインの役割である学習としては無駄なので『異常とも言える読書量』を子供達に勧めるのはヤメたほうがイイんじゃないかな〜?
●『否』の理由その2
この『異常とも言える読書量』を推進している学校が「市立小学校」というのはいかがなものでしょうか?
「市立小学校」ということはその学区内に住居を構えていればほぼ強制的に通うことになります。もちろん私立小学校へ通うという選択肢もあるでしょうけど、そこまでしないとこの『異常とも言える読書量』を推進している学校を避けることはできません。
まだ『読書クラブ』みたいなものを小学校内で設立して、希望者のみ本を読みまくるというのであれば良いのですけど、その小学校に通う生徒全員というのが引っかかります。
例えばスポーツが得意で野球・サッカー・水泳など「学校に関係ないチームに所属している」という場合はどうなるのでしょうか?
塾や習い事(音楽・書道・そろばん・バレエetc)などへの影響はないのでしょうか?
現代ではプロスポーツ選手を目指したりオリンピック出場を目指すには、子どもの頃から良い環境で練習するのが常識です。
要するにもっと各家庭や子どもら個人に選択権があってもイイんじゃないでしょうか?
もちろん小学校での『異常とも言える読書量』は強制ではないことは理解しています。
しかし
本を借りる冊数が少ない児童に『図書室で何冊か本を借りてくれば』『もっと頑張ろうね』と声をかけています。
先生方が↑このような指導(声かけ)をしているというのであれば、子どもたちにとってはプレッシャーとなるでしょうから、「強制はしてません」と言われてもね〜。
『半ば強制』って感じは否めませんよ。
個人的には6年間もの間毎日のように「本をたくさん読みましょう」なんて言われ続けたら、「洗脳されやすい体質になってしまう」や「心の病にかかってしまう」などもいるんじゃないかと心配です。
蛇足ではありますが、このような観点からも『異常とも言える読書量の結果子どもたちはどのように変化したのか』というデータが必要なんです!
●『否』の理由その3
担任から声をかけられると素直に本を借りてきます。声をかけられることで児童は励まされるので、読書に限らず、一人一人に声をかけるのは大事だと考えています。また図書室は、休み時間になるとたくさんの児童がやってきます。『読め』と言われたからと嫌々読んでいる子はあまりいないと考えています
おいおい、子どもたちに匿名アンケートでも取って、データ化(数値化)しなさいよ。
本を好んで読んでいる子ども、嫌々読んでいる子どもがどのぐらいいるのか勘で決めつけないでください。
「本を読むより体を動かすほうが好き」という子どもがたくさんいるかもしれないじゃないですか。
休み時間(たぶん昼休みのことでしょう)に子どもたちが図書室に行くことは否定しませんが、校庭や体育館などで体を動かすことも重要なんじゃないでしょうか?
●『否』の理由その4
月1回、児童が何冊本を借りたのかという統計資料を各担任に配布しています。
先生たちの上司である校長から毎月統計資料という名目の「成績表」を渡される理由はただ一つ、「とにかく本を借りる子どもを増やせ」ということでしょう!
要するに先生たちには『ノルマ』のようなものが課せられているのです。
当然本を借りる冊数が少ないクラス担任の先生の評価は下がるだろうし、冊数の多いクラス担任の先生の評価は上がるでしょう。
本を借りる平均がもっと増えれば校長自身の評価も上がるでしょう。
先生たちも自分の評価に関わることなので、必死に子どもたちに本を借りるよう指導しなくてはならないのです。もしかすると上司からのプレッシャーに負けて、自分では気づかないうちに『強引な指導で本を借りることを強制する』こともあるでしょう。
先生たちは他校へ転勤するまで「生徒に本を勧める」ことを継続しなくてはなりません。これって小学校教諭の仕事として必要なことなんでしょうか・・・?
●『否』の理由その5
冊数を意識しているのは『量から質に』ということが念頭にあるためです。子どもは、本を借りるだけでほとんど読まない可能性もありますが、本に触れる機会が多ければ多いほど、自分にとって最適な本に出会える確率が高くなると期待しています
校長自ら認めているのですが、『小学生1人が年間平均142冊の本を読む』ではなく、『小学生1人が年間平均142冊の本を借りる』だけなんです。
実は本さえ借りれば別に読まなくてもイイんです!!
『否の理由その1〜3』までは「読書」と結びつけていますが、「読書」しなくてもイイんです。とにかく本を借りること、「本に触れる機会を多くする」というのが目的だと言っています。
いまどき公立の小学校でそのような目的を推進しても良いのでしょうか?
プログラミング・パソコン・英語などの授業をやる時代なんじゃないの?
パソコンやタブレットなどに接する機会を増やすってゆーのはどこに行っちゃったんでしょうか?
●『否』の理由その6
三郷市は2013年3月、読書活動のさらなる推進などを目的に市議会の議決を経て「日本一の読書のまち」を宣言しており、読書活動に積極的な街として知られていますが、特に同校は熱心だそうです。
ちょっと小学校の話から逸れますが、三郷市では市議会で決議されて「日本一の読書のまち宣言」しちゃってます。
始まりは彦郷小学校だったのですが、文部科学大臣表彰されたなどの影響もあるんでしょうね〜、三郷市全体が「読書をしよう!」ってなったんですね〜。
その割には公立図書館が3つだけというのは寂しいですね。
大和市のシリウスと比較しちゃうと三郷市の図書館は『ごく普通』です。実際に各図書館を訪れて調査したわけじゃないですが、現代にあった空間ということもなく普通の図書館のようだし、週1日以上の休館日などもあります。
「日本一の読書のまち宣言」から5年経過しているのですから、せめて子どもたちが夏休みの間ぐらいは『無休』のほうがイイんじゃないでしょうか。
※ちなみにシリウスの休館日は12月31日と1月1日の2日間だけなのに対し、三郷市の図書館は週1の休館日以外にも12月28日〜1月4日まで休館です。
「日本一の読書のまち」を宣言しているにも関わらず、ぜんぜん「日本一」じゃないし、『日本初の試み』というような新しいことも特に何もないです。
三郷市は「日本一」という理由を証明すべきです!
三郷市のホームページやPDFなども拝見しましたが、まったく「日本一」の要素がなかったです。もっとキチンと「この目標をクリアすれば日本一だ」もしくは「この目的を達成すれば日本一だ」というような設定をすべきでしょう。
電子図書館だって他でもやってますから、別に珍しいことではないです。
気安く「日本一」を名乗ってはいけませんよ。
余計なお世話だとは思いますが、市民の方々は多額の税金がこのようなことに使われていることに理解+納得しているのでしょうか?
もっと民間とタッグを組んで、大和市のシリウスみたいな感じで利用者を増やすことを考えたほうが正解だと思うんですよね〜!